時計の学校に通っています。(その2)

前回の記事では、時計の社会人講座に通っていること、そのカリキュラム(4〜6月)の一部として、工具の製作や機械式時計の分解・洗浄・組立などを紹介いたしました。

今回の記事では6月後半のケーシングを中心に紹介いたします。

  • 4月・・・手巻き式時計のムーブメントの部分的な分解と組み立て(洗浄や注油作業は割愛)
  • 5月・・・工具製作(時計の修理で使用する工具を自分で削り出して熱処理して整形)
  • 6月・・・手巻き式時計のムーブメント分解、洗浄、注油、組立、ケーシング、時刻合わせ、防水試験、バンド取付
  • 7月・・・手巻き式時計の再分解〜再組立、測定と調整、再ケーシング、再バンド取付

教材として使用しているムーブメントも前回紹介させてもらいましたが、スイスETA社のムーブメント「キャリバーETA6497」です。

1860年にイタリアのフィレンツェで創設された「オフィチーネ パネライ」のPAM00000やPAM00111のムーブメントのベース仕様となります。

画像参照元HP: https://www.rasin.co.jp/blog/panerai/ウォッチコーディネーター実技講習とパネライpam00000/
画像参照元HP: http://www.threec.jp/magazine/73

ケース外径がデカすぎるので、腕につけるのには微妙と思っていたけど、このキャリバーに愛着を感じてしまっている今となっては、この時計がより一層魅力的に思えてきてしまい、正直欲しい(笑)

ケーシング作業とは?

ケーシングとは「文字盤や時間針・分針・秒針などの針を組み付けたムーブメントをケースに組み付ける工程」を指します。

つまり、時計としての最終工程に相当します。

ケーシング、バンド取付工程は嬉しいサプライズだった

実はこれは嬉しいサプライズだったのでした。

入学前にあらかじめ購入手続きをしておいた工具や教材が、入学初日に配られたものの、文字盤や時間針などのない素のムーブメントだけだったので、「商品としての時計」ではなく、あくまでこのクラスでは分解・修理をメインで学ぶんだなーなどと思っていたのです。

もともとそのつもりだったので、完成状態の時計が支給されることを期待していませんでした。(後々自分で器を自作して作ればいいやーなどと思ってもいました)

そうだと思って気にもしなかったところ、ムーブメントの組立実習が終わる6月の中旬に、講師から時計の文字盤、時間・分・秒針に、さらにはケースと革バンドまで配られたのです。

中身の構造をもっと知りたくて、自分で分解して、洗浄・注油して、組み立てられるようになりたくて門を叩いたはずだったのに、少しできるようになると、今度はいつも見慣れている完成状態の時計のカタチにしたくなるこの矛盾(笑)

なんということでしょう。でもね、

分解して、自分でハケで洗浄して、キズミ(目につけるルーペ)を使って注油して、組み立てて、、、などの作業をやっていると、早くこのムーブメントを「時計」として腕に巻いてみたいと思うようになってくるんです。

だからこのサプライズはとても嬉しかったです。なかなかニクい演出するじゃないですか、先生方も^^

文字盤と針の組み付け

文字盤、針(時・分・秒)、中枠(輪っか状のもの)、ケース、リューズ(時間調整のツマミ部分をリューズと呼びます)、革バンド。

これらが支給されました。

まずは文字盤から装着していき、次に針と進みます。下の写真の赤い棒状のものが時針などの針を圧入するための工具です。

先端にはオレンジ、黒、レモン、水色をしていますが、これらは先端中央がドーナツ状の空洞になっていて、針の根元を押し込んで圧入するための工具です。

色違いによって、ドーナツ穴の穴径が違います。

無事組み付けられました^^

ところで、機械式時計において時間針と分針を取り付けるときには、注意が必要です。(取り外して再度取り付ける人ほとんどいないと思うけど、、)

「必ず時計回りに回転させながら時針と分針を12時の方向に圧入する」必要があります。

時計は複数の歯車が噛み合って駆動されているのですが、歯車と歯車には微小の隙間が必ず存在するため(これをバックラッシと呼びます)、反時計回りに回して位置を調整すると、その分だけごくわずかではありますが、時針と分針がズレてしまうからです。

12:00の時間のときに時針と分針がピッタリと合わないなんて気持ち悪いですよね。

ついでに、圧入した針を分解時に外すための工具の紹介も併せてさせてください。

下の写真のように時計の針そのものにキズをつけぬよう、養生のカバーをかけて作業が行われます(下の写真では単なる小袋を開いて広げたもので代用しています)。右の工具は、分解時に圧入された針を引き抜くための道具です。

先端に円状の穴が設けられた毛抜きのような形状で針を挟みつつ、中央の棒状のものが押し当てられることにより、いとも簡単に針が抜けます。

巻針の長さ調整

先ほども紹介した時計の時刻合わせを行うためのツマミは「リューズ」と呼ばれるもので、そのリューズとムーブメントを接続する軸を「巻真(まきしん)」と呼びます。

教材は長い巻真(汎用なのか、このような実習を行わせるために意図的に長い巻真を設定していたのか不明)だったので、これを都合の良い長さに自分でカットします。ミスると寸足らずで終了します。尚、この巻真は2,000円(高っ!!)ほどするらしいので、慎重に行うことが求められます。ドキドキでした。

まず、カットする長さを決めます。ほんの少し長めに切断するのが良いです。

カットした巻真の先端のバリを除去した後、リューズに仮付けしてケースにつけてみます。ちょっと長いですね。ケースとリューズの隙間0.1〜0.2mm程度まで追い込みます。(私はこのリューズと組みつく巻真のネジピッチが0.5mmだったので、これを利用して1ピッチ分だけ追い込むことにしました)

ちょうどよい隙間に設定できました。下の写真の状態でコピー用紙2枚が挟めました。コピー用紙1枚の厚さはおよそ0.1mmに相当します。

魅惑のシースルーバック(通称:裏スケ)

プライベートでは実はまだ裏スケの時計持ってなくて。機械式時計ウットリとか言っておきながら、裏スケモデルを眺めることさえ許されない環境におりました。

ついにシースルーバック様とご対面です。

わー透け過ぎー!!カッコいい!

革バンドを取り付ける

というわけで、いよいよ最終工程にやってまいりました。

ここでは「バネ棒外し」という工具を用いて、革バンドについているバネ棒を工具のY字部分に挟んでラグ(バンドやブレスレットを取り付けるためのケース側の接合部分)に取り付けていきます。

はい。できました。簡単です。

でもこれがロレックスなどの高級時計のケースに取り付けようとなると、キズでもつけたら気絶するので、おそらくこんなに「フフン♪」などとテキトーにやれない気がします(笑)

うう。ヤバイ。装飾なんて何もない素のムーブメントなのになんて格好良いんだ。。。うっとり。

実際に腕に巻いてみた

いよいよ感動の瞬間ですね。。。ハイ!こんな感じです!

角度を変えてもう一枚!

すごい。バッチリ。カッコよすぎる。

ダイバーなどのスポーツモデルでない王道のデザインなものの、ムーブメントが大きい(実習的には好都合のため選定されている)せいで、ケース径が42mmと非常に大きいけれど感動が勝り、全然気にならない^^。(このデザインなら個人的には38mmくらいをつけたいけれど、それは今後の楽しみにとっておこう!)

他の受講生も「おぉ〜時計だ。時計になってるー!!」と感動してました。

ちなみに受講生は授業中は全員、白衣を着て実習に取り組んでいます。上の写真の袖はまさしく白衣。

なんかプロの時計技師っぽい雰囲気を醸してくれて案外悪い気分にはなりません(笑)

そしてすぐさま分解(2回目)に、、、

腕につけた感動も束の間、すぐに「それでは、バンドを外してケースも取り出しちゃいましょう」と講師。

分解・洗浄・注油・組立を繰り返し行う反復練習をやりましょうと、至極まっとうな流れとなり、再びバラすのでした。。。。

もう、サクサクとバラせます。バラすのは比較的簡単。あっという間でした。

7月中に再度ケーシングまで行う

現在、私は洗浄が終わり、注油作業を行なっています。

今回は途中で、講師による洗浄や注油などの工程が適切に行われているからのチェックが入ります。

作業の早い人は、測定機器を用いて、時計が時計として適切な状態であるかどうかのチェックのやり方を学びながら、計測しているようです。

8月は夏休み期間でお休み(もともとは専門学校生向けの時計の学校なので)なので、残り数回でしっかり私もケーシングまで終えられるようにしたいと思います。

それではまた。