兄弟の企業型確定拠出年金で運用方法と商品をアドバイスしてみた
マコクロ 兄は今40歳。株式運用経験ゼロ。
学年で3つ離れていますが、早生まれなので実質的には2つ上な兄です。
兄は株式投資に全く興味を持ってなくて、とにかくクルマとデジモノ好き。多くの男性会社員が共感するんじゃないでしょうか。
そんなある日、「兄貴の会社は確定拠出年金やってんの?」と聞いたところ「やってる」と。続けて「どんな商品選んだの?」と聞くと、「よく分からないからなんか預金系の大丈夫そうなやつ選んだ」と。
そんな兄の企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)の運用暦は大体8年にもなります。ただ前述の通り、本人曰く「よくわからなくてずっと放置したまま」。なんと勿体無い。
そこで、私の運用資産には限りがあるけれど、ここにも運用資本が多少なりともあったじゃないかと閃いたのです(笑)。私も運用結果を聞いて楽しめる、兄も資産が増える(かもしれない)。きっとWin-Winです。
ところでこの企業型DC、制度自体が始まったのはどうやら2001年からのようですが、兄の会社が制度を取り入れたのは2011年なので、それなりに時流に乗って開始した会社のようです。(私の前職は制度開始がかなり遅かったので、だいぶ待ちくたびれました)
「今度、運用商品のラインナップから、オススメできそうな商品見つけて提案してあげるよ」
そんなLINEでのやりとりから、兄の年金資産運用をサポートすることとなりました。まずは掛け金やら運用商品やらを紹介していきます。
マコクロ 兄の現状の運用商品と掛け金
- 兄(加入者本人)の毎月の拠出額は11,000円
- 運用商品は「〇〇DC定期預金」がメインで、もう一つ似たような元本保証系の商品(忘れた)
株に興味のない兄が設定した、やや中途半端な拠出金額から推察するに、会社側の拠出額と同額程度に設定しているのだと思われます。
つまり、合計で毎月22,000円くらいと予想。拠出合計額と運用年数から見積もっても概ね近い計算結果だったしね。
※これは、本人に確認を取っても分からないとの回答であったことと、数ヶ月に一度届くレポートにも会社と加入者のそれぞれの拠出金額の記載がなく、私にも良く分かりませんでした。というわけで、まぁ、こんなものだろうという概算だけどそれなりにリアリティのある数字ということで、あくまで参考値として思っていただければ幸いです
企業型DCは従業員である加入者本人と会社側が拠出し合う「マッチング拠出」を採用していますが、この時の制約事項としては以下の通り。
- 会社側の掛金との合計で拠出リミットの月額55,000円を超えることはできない
- 確定給付年金(企業年金基金)を併用している企業の場合は、マッチング拠出額は月額最大27,500円までに制限される
- 加入者の掛金は会社掛金と同額までであり、かつ、合計で拠出限度額までとなる(企業年金のメインの拠出者は会社であるという考えに基づいて、会社の掛金を加入者本人の掛金が上回ることができないルールが存在する)
8年運用しても含み益が5千円にしかならない現実
8年間の運用資産を見せてもらうと、含み益が+5千円にも満たないパフォーマンス。
「え?これほんと大丈夫??」(と、心の中で思い、、)
過去記事で紹介したマネーシミュレータで計算してみると
毎月22,000円をこれまでの8年間、これからの20年間の期間でせっせと積み立てても、あってないような預金金利じゃ、60歳時点で800万にも届きそうにないことが無事判明。
「これはちょっとよろしくないな、、、」(と、確信するものの、兄にはひとまず伝えず)
そこで兄にはこのように伝えておきました。
「せっかくの制度だから株式運用をもっと有効活用した方がいいよ」
「リスク資産になるけど、長期的には年率換算で5~7%くらいで運用できるかもしれないよ」
後者は根拠の提示なしの口パク(ふつう、投資詐欺に近い性質の発言になりかねない笑)でしたが、一応私が企業型DCでの3年半の運用で210万が250万(+40万)になったことが安心材料となったのでしょう(これこそ投資詐欺の常套手段だけど笑)
現状の年齢と投資環境下において「預金系の商品」を選択する理由は1ミリもない
企業型DC(iDeCoも同様)、積立NISAの制度が設けられた投資環境において、株式などリスク資産の運用における重要な考え方は下記の3つです。
- 時間分散(時間を味方につける)
- 資産分散(卵は一つに盛るな)
- 複利の効果(数%の利回りが、十数年後には大きな差を生む)
投資信託においてはこれらに加えて「運用コスト」が挙げられます。
これらをもっとも効果的に活用できるのが「適切な株式での運用」であって、決して「〇〇DC定期預金」などの銀行預金系の商品ではないのです。
もちろん株式運用では毎日穏やかに過ごせないのであれば、預金系商品でOKです。また、普段の貯蓄から老後資金を準備できるのなら何も気にする必要はないし、60歳以降も継続して稼ぐ力がある人はなおさらです。
ただ、大多数の人は「株式によるリスク資産」での運用になるかと思われます。
これまでの期間は投資用の種銭準備期間と考える
これまでの8年間は「知らなかったことによる投資機会の損失」であって、決して運用資産を損失したわけではないのです。
(リーマンショック立ち直り後、かつ、アベノミクスの初動前から運用スタートできる機会を逸したのは非常に惜しかったが、、)
「投資を本格的に行うための資金作りの期間」と考えれば良いのです。
株式を買い付ける十分な初期投資の資金に、毎月の22,000円の積立(推定金額)。これを20年間も運用できます。十分すぎる積立投資のスタートじゃないですか。
(ただ、リーマンショック立ち直り後、かつ、アベノミクスの初動前から運用スタートできる機会を逸したのはやっぱり惜しかった、、本当に。運用がわからなくとも節税の観点で全力で金突っ込んでおけよと言いたい笑)
運用商品ラインナップの内容的にほとんど選べない
手元に商品ラインナップがないので、正確に伝えられないものの、株式運用の商品が何本あったかな〜というくらい。
- 100%株式運用の投信・・・日本株式が3本くらい、外国株式が1、2本。
- バランス型投信・・・債権や不動産まで含めたバランス運用が6本。(信託報酬高め)
- 債権、銀行定期預金・・・全部で6本くらいだったような
- 生命保険・・・5〜6あったような(しっかり見てない、、)
1ファンドで世界中の株式に分散投資するタイプの商品はありませんでした。
この中でパッとタイトルだけ見て、目を通したのは結局5本くらいでした。
運用商品の選定方法は王道の手順で実施
最初に断っておくと、私の中での王道です(笑)
ただ、この選び方がほとんどの人にとっての外さない選び方だと思っています。
手順はこう。運用期間が5年以上あることが前提条件です。
- 運用商品を「株式」とし、「信託報酬の安い順」に商品リストを並び替える
- 信託報酬(毎年の運用コスト)は0.3%以下(できれば0.2%以下が望ましい)
- 上記2を満足し、日本含めた世界中の株式に分散投資するタイプの商品「全世界株式インデックス・ファンド」があれば、これ1本のみでOK
- 上記3の商品が該当しない場合、「日本株式(TOPIX連動)」と「全世界株式(除く日本、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス連動)」を1本ずつ
- 上記4に対し、新興国変動リスクを除外したい場合、「日本株式(TOPIX連動)」と「先進国株式(除く日本、MSCIコクサイ連動)」1本ずつ
こんな感じです。
おそらくこの順番で選定していくと、5本くらいに絞られるはずです。
なお、投資信託にはアクティブファンド、インデックスファンド(パッシブ)と呼ばれるものがありますが、手順2の信託報酬を0.3%以下にした時点で自動的にインデックスファンドのみとなるので、株式投資に馴染みのないうちは特に気にしなくても良いと言えるでしょう。
手順3での私のオススメはこれらです。もちろん企業型DCで楽天・SBIでの運用はあまりなさそうな気がするので、これに近い感じの商品構成・信託報酬になっていればいいのではないかなと!
- 楽天証券・・・楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全世界株式))信託報酬は0.2196%
- SBI証券・・・SBI・全世界株式インデックス・ファンド (愛称:雪だるま(全世界株式)) 信託報酬は0.15%程度
選んだ商品はたったの2本
兄は手順5に該当する「日本株式(TOPIX連動)」と「先進国株式(除く日本、MSCIコクサイ連動)」をチョイスしました。
手順2の信託報酬の縛りがとても厳しいので、手順3の「全世界株式インデックス」に該当する商品がなく、また、手順4の「全世界株式(除く日本)」に該当する商品も見つからなかったためです。
個人的には信託報酬は0.2%以下で選びたいです。できれば0.16%台の商品なんかがあると最高。
兄のケースでは、「日本株式(TOPIX連動)」の信託報酬が0.18%くらいで、「先進国株式(除く日本、MSCIコクサイ連動)」の信託報酬が0.27%くらいでした。
資産配分 国内株式4:外国株式6
兄は個別株式の投資も投資信託やETFへの投資もやったことがありません。
そんな兄には先ほどの2本の国内株式、先進国株式への投資の資産配分は4:6にするようにアドバイスしておきました。
一般に株式と債券には、例えば景気が悪化した時に株価が下がる一方で、金利が低下して債券価格が上がるといった補完関係が期待できることがある。だが、現在の国内債券は、日銀によって利回りが人為的に引き下げられているし、外国債券も好景気を背景に米・欧で金融政策が引き締めに向かう中で、是非持ちたい資産ではない。
DIAMOND online 「iDeCo」「つみたてNISA」でどの商品を選ぶべきか、山崎元が徹底解説(2018.1.31)より引用
また、長期国債を買っても利回りゼロの国内債券に関しては、現在個人は、「個人向け国債変動金利10年満期」を買うことができるので、ある意味ではGPIFよりも有利だ。個人向け国債(変動10)は、銀行預金よりも安全で、長期金利が上昇しても元本割れしないし(「国債暴落」に強い国債である)、現在の利回り0.05%はメガバンクの定期預金金利(0.01%が多い)よりも有利だ。
個人の場合、例えば「iDeCo」と「つみたてNISA」を両方やって、いずれでも「国内株式」と「外国株式」に半々(または国内4:外国6)に振り分けるといい。積立投資でリスク資産はゆっくり増えるので、全額を内外の株式投資に振り向けていい場合がほとんどだろう。
長年積み立てて運用すると、リスク資産の額が大きく膨らんでくるが、始めて数年間はたいした額にならないので、内外株式をそのまま抱え続けて、積み立ても続けていいだろう。そうしているうちに、徐々にリスクにも慣れてくるにちがいない。
大切なのは、やってみて慣れたらもう少し踏み込んでみること
まずはやってみること。これがもっとも大切です。
40歳以降はこれまで以上に会社から得る収入も大きくなるだろうし、絶好の積立投資タイミングです。
基本的には、信託報酬手数料含めた商品ラインナップの環境が大きく変わらない限りは、運用商品と配分比率はロックしてしまって、買い付け金額のみを制限値の最大まで徐々に上げていくだけで良いとは思います^^
そして四半期か半年くらいで手元に届く紙のレポートで運用パフォーマンスをチェックすること。できれば給料日や月末など、定期的に運用サイトで資産の値動きを見てみるのも感触がつかめるので尚良いと思う。
値動きにソワソワするほどの商品にはしていないものの、運用慣れしていない人にとっては大金をリスク資産に投入するのも事実なのだから、個々の性格にもよるのかもしれないですけどね。
ちなみに日本株:外国株=4:6についても、別に5:5や6:4でもいいと思う。もちろん変更したっていい。
(6:4だと日本株の上昇を期待する=円安に向かう前提とも受け取れるので、4:6の円高シフトの方が個人的には良さそうなかとも思うが、将来の為替予測なんてできるわけがないので、これも自由)
こういった行動も、運用を始めたことで資産に値動きがあることを知り、徐々に慣れ、自分の運用責任の下で考えたことなのですから、そんなに悪い行動でもないです。
マコクロ 自身のiDeCo運用商品
私は下記の商品をSBI証券経由で運用中です。
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に90%(信託報酬0.162%)
「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」に10%(信託報酬0.20412%)
日本株式については、個別株投資で1200万運用しているので、iDeCoとしての積立投信は不要であると判断しました。
外国株式は単にS&P500に連動する指数のものを買ってみたかったのと、結局「外国株式」と名がつくものの過半数は米国株式での運用で、結局、米国が世界経済を大きな影響を与えているのだから、米国株だけでもOKなのでは?という運用実験も兼ねています。
新興国株式はボラティリティが大きい(大幅上昇、大幅下落の可能性が高い)ので、控えめに設定しつつも、20年運用したらS&P500に対してどのような結果となるのかみてみたい(これも実験思考)という理由です。
遊びすぎは禁物ですよね。ええ。スミマセン。でも楽しくて仕方ないです。
20年後に兄の運用結果と答え合せ(年率パフォーマンス)ができれば良いと思います。
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