マコクロ流 会社四季報の活用方法〜銘柄分析〜(3)

2019-03-25

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それでは、会社四季報の活用方法(2)の続きです。

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まずは、前回までのおさらいから。

①営業利益は「本業での稼け」「企業の収益力」

②純利益は「最終的な手元に入る利益」

③1株あたりの純利益(EPS)は「ある期間の1株が持つ収益性」「会社の成果を測る物差し」

④有利子負債は「借金」

⑤現金および現金同等物は「現金」「すぐに換金可能で変動の少ない定期預金など」

今回のエントリーでようやく残り二つとなりました。それでは⑥と⑦を解説していきます。

⑥自己資本利益率(ROE)

ROEという用語、会社の業績発表や経営指標として聞いたことありませんか?

ROEとはReturn On Equityの略です。Returnはリターンですね。Equityは自己資本(≒株主資本)という意味です。

経営に関わる仕事、もしくは株式投資をやらない人には聞きなれない用語かもしれませんが、非常に重要視される経営指標の一つです。

私が所属している(今日まで社員です一応)会社では、毎月25日の給料日に社内広報誌が全従業員に配布されるのですが、たびたび紹介される中期の経営計画や四半期ごとの決算報告に必ず掲載されていました。

2008年のリーマンショック後からの会社経営再建で、8年くらい前あたりでしょうか、ことのときから外部に向けて発信するようになったなぁと記憶があります。

私が資産形成に対して勉強を始めたのがリーマンショック後くらいでしたので(当時は残業魔でしたが、残業できず暇だったのです😂)、それから数年でROEを社内で見聞きするようになったからきっと覚えているんでしょうね。

さて、話を戻しますと、このROEという指標、特に外国人投資家が重要視する傾向にあり、10年くらい前までの日本企業は大企業であっても、このROEを軽視した経営が多かったようで、世界的に見てもROEは低い水準にあったと言われています。

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本(≒株主資本)

この式から「ROEとは株主から預かったお金を使い、いかに効率よく利益を稼げているかを見る指標」で、この数値が高ければ高いほど、株主のお金を有効活用できていると言えます。

先日のエントリーでJAXAとトヨタの燃料電池による月面探査車両のトピックスを挙げましたが、乗り物に置き換えるならば「水素と酸素(自己資本)」を用いて、いかに「効率よく発電(ROE)」し、「長い距離を走れる(当期純利益)」か、といったところでしょうか。

ROEは経営の効率性の指標ですので、企業同士の業績比較できます。これが車ならば燃費(電力消費率)ですね。

そして、他の指標と同様に、業種により違いはあるものの、一般指標としてROEは10%以上、15%以上は優秀な会社と評価されることが多いです。

【補足】ROEを見るときは併せて自己資本比率もチェックしよう

ところが一つ注意点があります。まずは下表を見てみてください。

純利益が100万だとすると、その時のROEはどうなる?・・・

どちらの企業も純利益が100万であった場合、自己資本比率が低くなると、その分だけROEは高くなってしまうことがわかります。この例の場合、A社の自己資本が1000万、B社が500万です。

先ほど、ROE15%以上の企業は効率的な経営ができていて、優秀と判断できると述べましたが、この場合どちらの企業が良いのでしょうか?

ROEが仮に高くとも、自己資本比率が低くい(負債の多い)会社は、借り入れの利息や返済で経営状態を悪化させる可能性をはらんでおり、一概に良いとは言えません。

A社の自己資本比率は50%(自己資本と負債の合計額を自己資本で割って算出)、B社は25%です。業種や資金繰りの状況によって異なりますが、自己資本比率の安全性を見る上での一般論としては、下記が目安となるようです(ここは私も一緒に勉強しています)

  • 設備などの固定資産を多く必要とする会社・・・20%以上
  • たな卸資産などの流動資産が多い業種・・・15%以上

個人的には35〜55%程度の企業を好んで買ってきました。

なお、フィットネス業界はどのくらいかというと

  • ルネサンス・・・42.8%
  • セントラルスポーツ・・・56.3%
  • ジェイエスエス・・・42.1%
  • 東祥(ホリデイスポーツクラブを運営)・・・45.2%

うん、ルネサンスは平均的なレベルにいるようです。安心^^

そうやって見ていくと、有利子負債といい、自己資本比率といい、セントラルスポーツは同業種の中で財務安全性の高い企業だと言えますね。

⑦予想配当利回り

さあ、いよいよ最後の配当利回りにたどりつきました。

ここはどう見ていきましょうかね。

正直、この項目はもう個人の好みが大きく出るのではないでしょうか。

株式投資にあまり時間を割きたくない(もしくは割けられない、まだ初心者で怖いなど)、もしくは、日々の変動に一喜一憂せず、心を落ち着かせて毎日を過ごしたければ、高配当目当ての投資をメインとし、例えば1000万を配当利回り5%の銘柄で運用すれば、毎年50万(税引き前)の収入(これをインカムゲインと言います)得ることができます。

一方で、1000万の資産自体を大きく伸張させて財産形成を押し進めていきたい、といった目的があれば、あえて低配当になりがちな成長株に投資して、売却益(キャピタルゲインと言います)で資産の拡大を図る方が良いしょう。なお、私は後者です。

配当は調整時や暴落時で株価が大きく下落しても、本業の業績が傾かない限りは安定して支給されるストック収入のようなもので、株式投資をしている上での心の安定に寄与するものでありますが、今はまだキャピタルゲインの方が楽しくて仕方がないので、配当はもらえたらラッキー!と思うようにしています。

ただ、配当以前の大前提として、下記を理解しておくことが重要です。

純利益が発生した時点で、その利益すべてを株主は恩恵を受けることができるという事実。

というのも、

会社は純利益すべてを配当金にすることも可能だからです。

ただ、それだと翌年以降の成長にお金を1円も使えないですよね。

だから、成長投資・配当還元・キャッシュ(バッファ)となります。この配分に納得できないのであれば株主を辞めてしまえばいいだけの話です。

それじゃあ、結局配当利回りはどう考えたらいいのか?なのですが、企業にも各々の事業の成長フェーズがあります。

個人的な感覚で言うと、下記のような配当利回りとなる印象があります。このフェーズのどこに投資しているかをしっかり理解して、納得できていれば良いのではないでしょうか。

  • 創業期・・・ゼロ配当。利益はほぼ成長に向けた投資へ。
  • 成長期・・・ほぼゼロ。0.5%〜1%の気持ち程度の配当を出す会社もある。
  • 発展期・・・1.5〜3%。成長にも使いたいけど、株価も安定させたい(増資の際の資金調達額に影響、株価自体の価格と安定感が借入先への信用にもなる)
  • 成熟期・・・3.5%以上。大きな成長余地がない成熟産業の企業は5%超も。高配当で安定株主を確保。

配当金目当ての投資だと個人的には最低でも3%は欲しいですね。ちなみにJTなどの超成熟産業は配当利回り5.5%くらいです。100万投資したら毎年5万5千円の配当がもらえます。買ってから18年寝かし続ければ、初期投資分を配当金で全て回収できてしまいます。すごいことですよね。ちなみに米国のAmazonは無配です。全て成長に投資を回しているのです。あれだけ巨大な会社の利益を全て成長エンジンに回す経営者の能力も凄まじいものを感じます。

さて、肝心のルネサンス。こちらのの配当利回りは1.71%です。まだまだ成長期〜発展期フェーズであると考えているので、まぁ、普通と言うか妥当というか。そんなところでしょう。

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⑦マコクロが考える配当利回りのレベル

  • 非常に良い・・・3%以上
  • 良い・・・2〜3%程度
  • 普通・・・1.5〜2%程度
  • 配当はあまり期待できない・・・1.0〜1.5%程度
  • 配当はもはや諦めている・・・1.0%以下

そこそこ割安で業績が良く、なおかつ、成長余地のある企業への投資が好きな私としては、上記のようなイメージで配当利回りは評価しています。

さて、この辺りで、いつも大変お世話になっている四季報の宣伝もしておきますね。私は紙の四季報も購入しています。こちらは銘柄を端から端まで検索してきになる銘柄をリストアップ(紙の場合は付箋を貼ります)に役立ちます。購入した銘柄の後追い情報はこれまでの四季報活用法でも紹介しているSBI証券の四季報情報を用いています。


会社四季報 2019年1集新春号 [雑誌]

番外: 業績欄の数字に表れない情報をどう捉えるか

私は業績の数字にあわられない情報の中で、下記をとても大切にしています。

  • 企業の事業価値(社会的信用や影響力、ブランド価値)
  • 社長の経歴(創業者、プロ経営者、サラリーマン社長、ワンマン社長)
  • 社長のメッセージ(どのような未来を描いているか、なぜその企業が未来に必要とされるのか、事業経営の方針は何か、中期経営計画で数字をコミットしているか、ちゃんと達成しているか)
  • KPI(Key Performance Indicator)は何か、順調か

KPIは例えばルネサンスだと、会員数(変動だが安定したストック収入)とか会員継続率(つまり退会率)ではないでしょうか。

おまけ: チャート

チャートはファンダメンタルズ分析においては、特別意識しなくても良い情報です。

何故ならば、中・長期投資を軸足に置くことの多いファンダメンタルズ分析において、チャートは過去の株価変動を示しているだけに過ぎず、会社の未来の情報を得ることができないからです。

とはいえ、日々の上がった下がったの株価変動を見ていると、気になりますよね(笑)

ちなみにルネサンスの過去5年分のチャートはこちらです。

参照元:SBI証券 ルネサンス チャート(5年)

20年にするとこんな感じです。

参照元:SBI証券 ルネサンス チャート(20年)

上場したのは2005年であり、また、2006年の年始で2,500円付近をマークしたその後、250円付近まで一気に下落していることがわかります。

2007年頃にはサブプライムローンの焦げ付きがあったかもしれませんが、リーマンショックは2008年の秋頃でしたよね。それとは関係なく急落していることになります。

この手のパターンは2006年度の決算報告で、次年度の展望が割と無難というか普通で、肩透かしを食らった投資家たちが期待外れと判断し、悲観売りすることで株価が急落することが多々あります。(この2006年の急落がどういった理由で落ちたかは、古い情報が取れない私にはわかりませんので、あくまで推測の域を出ません)

それにしても買った株式が1/10とか想像もつきません。。。恐怖ですね。

2005年から今までずっと持ち続けていれば、トントンというところでしょうが、一方で、資産が長期にわたって塩漬けとなるので資産回転率という観点においては効率の悪さはハンパないでしょうね。。。

最後に: なぜ、ルネサンス株を買い増ししたのか?

同業他社と比べる上では、まずまずの業績で、一般指標から見てもそれほど悪くはないですが、数多ある銘柄の中で、突出して超成長株&割安株というわけでもありませんでした。

では、業績が同業他社に対して飛び抜けて良いわけではない(いや、普通に優良企業ですが)この銘柄を、なぜ今のタイミングで買ったのか?

これは過去のエントリーで紹介した注目ポイントである「フィットネス・リハビリによる予防医療社会の普及促進」と「ストックビジネス」の掛け合わせのビジネスモデルが大きな理由です。

有望なビジネスを手がけていて、しっかり業績を出せている会社の株式は、業績の上昇率以上に株価が跳ね上がることがあります。

2010年から比較してしまえば、今現時点で10倍高に近い領域におりますが、まだまだ高いポテンシャルを有していると考えます。

3回に渡って会社四季報の活用方法を、実際の保有銘柄を分析しながら紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

株式投資に興味を持っていた方、すでに投資は始めているが、どんな銘柄を、いつ、どういった考え方で買っていけばいいのかハッキリしていなかった方に参考になれば幸いです^^

この3回に渡って紹介してきた四季報データはSBI証券で無料で使用できます。実際の運用口座でなくとも有用ですので、ぜひ口座開設してみてはいかがでしょうか。

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