保有銘柄 ユニ・チャーム: 2019年12月期 第1四半期決算レビュー

2019-05-25

更新が随分と空いてしまいました。

原因(というか反省)はハッキリしていて、先々週末からの風邪で英語の学習時間が1日あたり2時間程度と落ち込んでしまっていたことによります。

取り組みのほとんどが音読になるので、喉を痛めて声があまり出ないことから体調が回復してもあまり量をこなせていなかったんです。

このままズルズルと2時間勉強が自分の中で普通のことであると定着してしまうを嫌って、今週はまず毎日4時間英語に向かい合った上で、その後にブログ(株式の銘柄分析兼ねる)書くとやっていたら、ちょっとずつ遅くなってしまいました。4時間毎日やれば6日間で24時間なので、月間100時間の目標は到達圏内なのでなんとかなりますからね。

ブログを書くときは、銘柄について自分なりにいろいろ調べながら、書き直しながらやっているので、毎回5〜6時間はあっという間に過ぎてしまいます。むしろ8時間くらいかかっているような。。。これも要領よくやれるように継続的に書き続けて2年後くらいに2時間で書けるようになりたいと思います。

さてと。言い訳はこのくらいにして、決算短信の銘柄分析を再開しますね。

  • ルネサンス・・・2019年3月期の通期決算(5/8発表)
  • 塩野義製薬・・・2019年3月期の通期決算(5/9発表)
  • ユニチャーム・・・2019年12月期の第1四半期決算(5/13発表)
  • オイシックス・ラ・大地・・・2019年3月期の通期決算(5/14発表)

今回の決算レビューはユニ・チャームです。

ユニ・チャームはパーソナルヘルスケア用品を取り扱う会社で、会社四季報によれば「生理用品、乳幼児・大人用紙おむつトップ。ペットケア用品も首位級。中国軸のアジア展開に強み」と特徴づけられる会社です。

「ムーニー」「マミーポコ」ブランドは日本国内で幅広く知れ渡っているはずですので、私なんかより子育て世代ど真ん中、もしくは、子育てを終えてひと段落した閲覧者の皆さんの方がよっぽど詳しいかもしれませんね。他に有名な商品は生理用品の「ソフィ」ブランドですよね。「ソフィ〜〜♪」というCM最後のワンフレーズはなぜか耳に残ります。

そんなユニ・チャームの第1四半期決算はどうだったのでしょうか。今回も結論から。

結論: 業績は計画通り堅調に推移。このままホールド。

期首の通年の業績目標に対しては、順調ではあるものの、前年同期比で比較すると営業利益は-19%、純利益-10%と、ここだけ見るとやや冴えない結果となっています。

ただ、当2019年12月期の連結業績予想は、売上高7,300億円(前期比+6.1%増)、営業利益1,000億円(同+5.1%増)、純利益635億円(同+3.5%増)で、最終的には増収増益を計画しています。

どういうことなのか詳しく見ていきます。

決算短信から読み取れる情報

まず、いつもどおり決算短信から見ていきましょう。

出典元: ユニ・チャーム 2019年度12月期 第1四半期決算短信より
https://disclosure.ifis.co.jp/data/disclose/71/20190510/140120190510420986.pdf

対前年の同四半期に対しての増減率は下記の通りです。桁数が大きすぎて決算短信の百万単位だと分かりづらい印象があるので、カッコ書きで億の単位も併記しておきますね。

  • 第1四半期の売上高・・・168,611百万(1,686億) → 前年同期比+4.8%
  • 第1四半期の営業利益・・・20,099百万(201億) → 前年同期比-18.7%
  • 第1四半期の純利益・・・12,701百万(127億) → 前年同期比-10.4%

前年度決算時に発表した2019年度の通期での業績予想の変更はありません。つまり、会社側は前年度に対して増収増益であるとコミットしています。

なんにせよ第1クォーター終了時点で早々に掲げた旗を降ろすような業績予想する規模、ステージの会社ではないので、「ま、そりゃそうだよね」という印象です。

次に決算説明会資料を紹介します。

決算説明会資料

出典元: ユニ・チャーム 2019年12月期 第1四半期決算発表説明会資料より抜粋
http://www.unicharm.co.jp/ir/library/investors/__icsFiles/afieldfile/2019/05/16/J_Web_Presentation_Material_20190513.pdf

前年同期比で営業利益が大きく落ち込んだ要因は、どうやら日本国内での業績に原因があることがわかりました。

国内事業のサマリーを抜粋して書き出してみます。

  • HC(ヘルスケア)、PC(ペットケア)は増収。
  • BC(ベビーケア)、FC(フェミニンケア)、C&F(クリーン&フレッシュ※)は減収。原因は中国向け越境ECの在庫調整や転売業者の減少による。
  • 減益の原因は大きく3つあり、①原材料費と物流費の高騰②九州工場の稼働③越境EC鈍化による稼働率悪化

※クリーン&フレッシュ事業は、ホームケア用品の「ウェーブ」(お掃除シート)、パーソナルケア用品の「シルコット」(コットンやウェットティッシュなどを展開)、キッチンケア用品の「クックアップ」(キッチンペーパー)などの商品を展開している事業です

馴染みのない単語が出てきました。

「越境EC鈍化」と「転売業者の減少」です。これはどういうことを指しているか説明します。

まず、越境ECとは「インターネットによるオンラインショップ等で国を跨いで通信販売を行う電子商取引」を指します。ECはElectronic Commerceの略です。

私含め日本人は主に日本で暮らしていて、ほとんどの人はオンラインでも国内のショッピングサイトで買い物をし、国内の拠点から商品が配送されて手元に届くことが大半ですよね。

これはよほどのことがない限り日本で手に入らない品物はなく、また、機能や信頼性の品質面で日本製より大きく勝るものは少ないと認識(信用)していますよね。

そこをあえて海外サイトで言語と文化と対応の良し悪しによる心理的抵抗を超えてまで「ちゃんと商品届くかな?」とドキドキ心配しながらの注文する理由が、私たち日本人には正直ありません。

一方で、海外からは日本のコンテンツ(わかりやすいのはアニメや漫画)を買いたい欧米の人々、メイドインジャパンの電化製品、食品、日用品をなんとしてでも買いたい中国やアジアの人々が我々日本人が想像しているよりも多いのです。特にマスの大きなアメリカや中国の需要と消費が多いのです。

もう一つの「転売業者」は文字通りで、日本で買い付けて自国で販売するためのBtoCの中間業者で、BtoBtoC(ユニ・チャーム→転売業者→エンドユーザー)のことを指します。

ユニ・チャームは中国でも工場を持ち、中国全土に向けた紙おむつを生産・販売しているのですが、当の中国人の消費者は、現地製(”日本メーカーのメイド・イン・チャイナ”)には魅力を感じず、あくまで”メイド・イン・ジャパン”に対する揺るぎない信頼が強く、「日本で買う」「日本で買ってきたものを中国で買う(=転売業者)」「アリババや日系企業のネット大手を通じて日本から輸入した日本製(中身はメイド・イン・チャイナかもですが、、)を購入する(=越境EC)」という購買行動に出るようなのです。

この越境ECと転売業者による販売が振るわなかったようなのです。エンドユーザーは中国等の他国ですが、ユニ・チャームとしては「日本業績」に該当します。

どんな理由で日本業績に貢献していた「越境ECが鈍化」し、「転売業者が減少した」のか?

2019年2月21日の東洋経済オンラインの記事は「メリーズ」ブランドを持つ競合他社の花王が中国市場で急失速した原因が書かれていますが、今回の決算の上記キーワードとほぼ一致するため、ユニ・チャームの日本業績に及ぼした原因とも捉えることができそうです。

その1つが、中国政府によるソーシャルバイヤー(転売業者)に対する規制だ。今年1月に現地で「中華人民共和国電子商務法」(通称:EC法)が施行され、ソーシャルバイヤーには営業許可証の取得や納税義務が課されることになった。これにより、昨年後半からソーシャルバイヤーは日本製品の買い控えを続けている。「EC法をにらんだ動きが昨年9月から始まり、とくに年末にかけ、顕著に出てきた」(澤田社長)。メリーズはソーシャルバイヤーから人気が高い製品のため、買い控えが販売に打撃を与えたとみられる。
予測しなかった出来事の2つ目が、ソーシャルバイヤーによる在庫の「たたき売り」である。ソーシャルバイヤーはメリーズの在庫を大量に抱えており、「その在庫を吐き出すために、個人商取引が行われているECサイトにどんどん出品した」(花王の広報)。すると、花王が正規ルートのプラットフォーマー(IT企業)を通じてECサイトで販売する製品と価格差が広がり始めた。  
プラットフォーマーは花王に対し値下げ圧力をかけてきたが、「メリーズのブランド力維持のため、それには答えなかった」(澤田社長)ため、ECサイトでの販売数量が減少した。

東洋経済オンライン 2019年2月21日記事
「花王、紙おむつ「メリーズ」急失速の複雑背景 〜競合のユニ・チャームと明暗が分かれた理由〜」より抜粋
https://toyokeizai.net/articles/-/266908?page=2

すなわち、ユニ・チャームが公表している減収の原因は下記と推測されます。

  • 「中国向け越境ECの在庫調整」・・・転売業者の個人ECサイトでの叩き売りにより、アリババなどのショッピングサイト(正規ルート)での正規価格での販売が落ちた(→ 売上減少)
  • 「転売業者の減少」・・・2019年1月施行のEC法による転売業者への規制(営業許可の取得と納税義務)

結果として国内生産の稼働率が悪化し、営業利益が減ったようです。

出典元: ユニ・チャーム 2019年12月期 第1四半期決算発表説明会資料より抜粋
http://www.unicharm.co.jp/ir/library/investors/__icsFiles/afieldfile/2019/05/16/J_Web_Presentation_Material_20190513.pdf

ユニ・チャームは前年度の決算説明資料で「日本事業は収益性悪化」と、あらかじめ想定しており、それでも「原材料の高騰や持続的成長に向けた開発投資などを増収効果により吸収し、 2019年度も過去最高を更新」とコミットしています。

また、今回の決算説明資料においても「アジアでの積極的なマーケティング投資による増収効果はあったが、想定した越境EC市場で在庫調整等の影響もあり、 原材料価格の上昇等を吸収できず46億円の減益」と述べています。

つまり、今回の第1四半期の日本事業の業績は当初からの想定の範囲内であったことが伺えます。

出典元: ユニ・チャーム 2019年12月期 第1四半期決算発表説明会資料より抜粋
http://www.unicharm.co.jp/ir/library/investors/__icsFiles/afieldfile/2019/05/16/J_Web_Presentation_Material_20190513.pdf

日本からの越境ECなどの輸出を海外売上高としてカウントした場合、ユニチャームの海外売上高は67%にも及びます。

転売業者の叩き売りが一巡して、元の越境ECサイトの販売が安定してくれば、再び国内業績も回復してくることが期待されます。

まとめ

  • 通期業績予想に対しては順調に進捗
  • 営業利益、純利益と物に前年比で落ち込むが、原因は明確で想定の範囲内
  • ガイダンス(会社予想)は当期業績予想、EPS予想ともにコンセンサス(市場アナリスト予想)を下回ったまま。注視していく必要あり。

コンセンサスのところを触れてませんでしたが、まとめに書いてしまいました。

複数のアナリストが予想した値をまとめたコンセンサスが会社よりもかなり強気に予想していますね。業績サプライズが発表されて、コンセンサスを上回る決算予想をユニ・チャームが出すことがあれば、株価はさらに押し上げてくれることを期待して、引き続きホールドしていきたいと思います。