保有銘柄 ルネサンス:2020年3月期第1四半期決算レビュー
タイトルの通り、昨日、ルネサンスの2020年3月期第1四半期の決算短信がリリースされました。
7月下旬から8月上旬にかけて各社決算発表が続きますので、運用資産が1億クラスで20〜30銘柄に分散しているようなファンダメンタルズ重視の個人投資家の方はそれはさぞ忙しい時期かと思います。
さて、私の保有銘柄は先日のトレファクを除くと、ルネサンスと塩野義製薬が昨日決算短信が発表されています(本日ZOZOも決算短信と決算説明会資料をアップしてました!)ので、1つずつ紹介していきます。
- トレジャー・ファクトリー・・・第1四半期決算(7/10発表済み)
- ルネサンス・・・2020年3月期の第1四半期決算(7/29発表済み)
- 塩野義製薬・・・2020年3月期第1四半期決算(7/29発表済み)
- ZOZO・・・第1四半期決算(7/30発表済み)
- ユニ・チャーム・・・2019年12月期中間決算(8/8発表予定)
まずはルネサンス。
前期2019年3月期の決算レビューでは下記のような結論としていました。
前期結論: 業績は計画未達。判断は次期決算まで持ち越し。
第1四半期の結果からどのように判断と対応を実施したか結論から書きます。
結論:今期の業績達成は困難と判断。全株売却処理。
本日、寄付きで全400株を売却処分いたしました。
確実に寄付きで処分することを重視し、「成行」の売り注文としました。
結果論ではありますが、朝イチでの寄付きでの売却が本日のルネサンスの株価において最も高値でだったので、売却方法としては最善だったかと思われます。

決算短信から読み取れる情報


前年同期比と比較と、通期業績予想に対する進捗率を整理してみます。
- 売上高・・・11,088百万 → 前年同期比に対して-1.4%(通期に対しての進捗率24%)
- 営業利益・・・543百万 → 前年同期比に対して-14.7%(通期に対しての進捗率13%)
- 純利益・・・280百万 → 前年同期比に対して-30.4%(通期に対しての進捗率11.2%)
表紙の内容はざっとこんな感じでした。
次に、表紙以外の説明からも情報を得ていきましょう。


各重要成績の今回の結果に至った理由を抜粋します。
- 売上高(ライム)・・・業務委託事業の売上高表示方法の変更(※)と一部店舗の閉店の影響が原因
- 営業利益(赤線)・・・エネルギーコスト増加、デジタルソリューション活用の経費増加が原因
- 純利益・・・特に言及なし(言及しない意味がわからない)
- 第2四半期以降の業績(青線)・・・会員数の動向より、前年度を上回るとの予想
(※)売上高の総額から純額表示への変更とは?
これまでは、「業務委託先の売上高」を含めて「ルネサンスの売上高」として計上していたが、途中から「ルネサンスの取り分(委託先が得た利益分だけがここで言う売上高に該当)」だけをルネサンスの売上高として計上する」
たとえば自動車メーカー(卸元)を例に挙げると、「卸売価格を売上高」とせずに「販売代理店が売り上げた価格(納車整備費用、オプション、登録諸費用)」をこれまでは「売上高」として計上することができていたということ
フィットネスジムの利益の源泉は会員数
ここで、フィットネスジムの利益の源泉とは何か?について再確認です。
前回の決算レビュー記事でも触れましたが、フィットネスジムのKPI(Key Performance Indicator)は下記です。
- 会員数
- 解約率(顧客満足度)
ストックビジネスは、会員数を徐々に増やし(もしくは客単価を上げていく)、かかる経費を落とす(仕組み化、効率化他)ことで安定した利益を得られるものだと認識しています。
会員数は増えているのに営業利益が落ちている
スポーツクラブ事業においては、顧客情報のデータ解析を通じたコミュニケーション等のデジタルソリ ューションを活用した会員獲得施策を積極的に実施し、在籍会員者数が413,472名と前年同期比1.5%増とな りました。
出典元: ルネサンス 2020年3月期 第1四半期決算短信より抜粋
不思議な話なのですが、デジタルソリューションを活用して、会員数を前年同期比+1.5%に増やしたにも関わらず、営業利益が振るわない理由にデジタルソリューションの活用の拡大による経費増加と説明しているのです。
もう何がなんだか(笑)
ルネサンスはスポーツクラブ事業(フィットネス、スイミングやテニスなどのスクール)が売上の95%を占めています。
私が注目している介護リハビリ事業、スパなどの健康ソリューション事業ももちろん伸びてほしい事業ですが、基本はスポーツクラブ事業なのです。
基幹事業のスポーツクラブ事業の会員数が前年同期比より伸びているのに営業利益が減るのは、如何なものかと。
デジタルツールなどのテクノロジーの使い始めは導入にもたついたり、浸透のための研修などで経費がかさむのはある程度は理解できるのですが、業績が大幅に悪化する要因になるのは本末転倒です。
我々個人投資家は前回決算時の決算説明会資料と今回の第1四半期の淡白な決算短信だけで投資判断を行う必要があります。
好調な業績ならこれでも良いのですが、、、はぁ。
ルネサンスの売却によって発生した譲渡損失はトータルで-13.5万
というわけで、今回の売却処分によって発生した損失額は下記のようになりました。
【特定口座300株】
売値1,670円(取得単価1,827円) → -47,100円の損失
【NISA口座100株】
売値1,670円(取得単価2,047円) → -37,700円の損失
ちなみに5月末にも、一度仕切り直しという名目でルネサンスを200株(-50,000円の損失)ほど売却してますので、トータルでは-13.5万近くの売却損となってます。イタタ、、、。
損切り処分は平然と速やかに行うべき
つい最近のエントリーで「ファンダメンタルズを根拠とした投資において、機械的な損切りという行為は存在しない」とお伝えしたばかりでした。
短期のデイトレ、スイングにおいては「株価の変動に対する損切り(ロスカット)」に対して、厳しく・機械的にコントロールすることが最も重要であるということが市場参加者の共通認識であり、「負けにくい投資」につながると言われています。それでは中長期投資に移ります。
(途中省略)
実は、ファンダメンタルズ(会社の業績や財務状況をベースに投資行動を決定する)をベースとした中長期投資においては、「機械的な損切り」という概念はありません。
中長期投資において保有銘柄は、「いつ買い」「いつ売る」べきか(その2)
丹念に銘柄を調査して「素晴らしい銘柄」を「適正な価格で購入」したのであれば「売却すべき(利益確定すべき)理由がない限りホールド」することが王道です。
なんだか不思議な話だけど、損切りってないんですよ。結果としてマイナス利益となってしまった場合に、「損切り」という表現にするならば、それは損切りなのかもしれませんけど。
今回のルネサンスの決算発表では、下記の(1)「会社に変化が生じた(業績が悪化した)」の判断をしました。
- 会社に変化が生じた(割高になった:買われ過ぎた(高PER)、成長が鈍化し稼ぐ力が衰えた(EPS低下)、悪材料が発覚したほか)
- 市場に変化が生じた(競合他社の出現、市場飽和、ゲームチェンジ、リセッション)
- 他に素晴らしい会社が見つかった(集中投資メインなら)
ファンダメンタルズに基づいての判断ですので、たとえ手痛い損切り処分になろうとも、自身の見通しが甘かったことが原因です。
決断したら、あとはもう感情を介さず可及的速やかに、かつ、粛々と売却処分を行うことができます。
悪い決算が連続したら基本的には「即、売却処分」を検討する
前期決算では「次回の決算にてホールドもしくは売却の判断」としていました。
というのも私は、2回(つまり半年)連続して業績低迷、計画未達の可能性が高まる場合は、基本的には売却処分するように心がけています。
ルネサンスは2019年3月期の決算が少々怪しかった(良いところもあったが、懸案事項もあった)ところが、2020年3月期第1四半期決算で悪い方向に顕在化してしまったので、今回の処置をとりました。
会社から未来に向けた種まき(先行投資)がわかるような説明があり、自分でも自信のある成長ストーリーを描けるのであれば、ホールドすることも考えますが、今回は残念ながらそのようには描けませんでした。
次回の半期と9ヶ月後の決算で、投資対象として復活するか確認していく
もともと会社の社会的な付加価値創造という観点と、ビジネスモデルとしては好きな事業ですので、今後もウォッチしていきます。
次回の半期の第2四半期と9ヶ月後の決算の結果を見て、再び投資を行うかどうかを判断していきます。とはいえ、最低でも1年は業績回復に腐心することになるから、しばらくは難しいのだろうなーなどと思っています。
今後のさらなるルネサンスの成長に期待しつつも、一旦、距離をおいて様子見です。
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