保有銘柄 オイシックス・ラ・大地: 2019年3月期 決算レビュー

今月のGW明け早々に発表された保有銘柄4社の決算レビュー、これで一応最後です。

月末までかかってしまいました。

  • ルネサンス・・・2019年3月期の通期決算(5/8発表)
  • 塩野義製薬・・・2019年3月期の通期決算(5/9発表)
  • ユニチャーム・・・2019年12月期の第1四半期決算(5/13発表)
  • オイシックス・ラ・大地・・・2019年3月期の通期決算(5/14発表)

今回の決算レビューはオイシックス・ラ・大地です。

では、結論から。

結論: 当期は過去最高だが見栄えが良すぎた。2020年3月期は成長拡大に向けたM&A費用もあり減益見込み。第2四半期の決算で一度判断、ホールド。

期中に業績予想の修正(上振れ)を出しましたが、それすらも上回り、売上高・営業利益・純利益ともに増収増益を更新しました。

一方で、決算短信発表以降の株価は過去のエントリーで紹介したようにドーンと下げました。

以降は1,200円前後を行ったり来たり。

5月14日の終値が1,559円で、14日当日の株式市場が終了した後に決算短信が発行されました。
 ・決算発表翌日15日の終値は前日比-371円の1,188円(-24%)
 ・16日の終値は前日比-41円の1,147円(-3.5%)
 ・17日金曜は株価が反発し、前日比+77円の1,265円(+6.5%)

保有株含み損益(2019-5-11時点:CW19)
https://makoto9610.com/investment-result-20190511/

株価が急落するときはいくつかあります。

  • 業績が不調であることが判明した
  • 業績の見通しを下方修正した
  • 配当を減額した
  • 来期の業績予想が期待外れだった
  • 不祥事を起こした
  • その他要因(世界同時株安、為替、地政学リスク、天災、同業他社の不振・倒産などの影響)

基本的にはネガティブサプライズと呼ばれるもので、全く予想外、相場に織り込こまれていない悪材料が発覚した時に株価は急落します。

一つ一つ見ていくと

  • 業績が不調であることが判明した →当期の業績は最高だった
  • 業績の見通しを下方修正した →期中で上方修正している
  • 配当を減額した →成長に投資を回しているので、そもそも配当がない(笑)
  • 来期の業績予想が期待外れだった →決算短信の情報からもこれに違いない!
  • 不祥事を起こした →適宜開示情報でのリリース無し
  • その他要因(世界同時株安、為替、地政学リスク、天災、同業他社の不振・倒産などの影響) →世界的にはいろいろあったが、国内メインの事業で、大きな天災もなく特に思い当たるものはない

今回のオイシックス・ラ・大地は「来期の業績予想が期待外れだった」ため、決算短信(当期は絶好調も来期はガッカリ)発表後に株価が急落したと考えられます。

では、詳細を見ていきましょう。

決算短信

いつもどおり決算短信から見ていきます。

オイシックス・ラ・大地 2019年3月期 決算短信
https://disclosure.ifis.co.jp/data/disclose/ae/20190514/140120190514425635.pdf
オイシックス・ラ・大地 2019年3月期 決算短信
https://disclosure.ifis.co.jp/data/disclose/ae/20190514/140120190514425635.pdf

当初の計画と期中での業績予想修正は下記の通りでした。結構な修正幅ですね。

オイシックス・ラ・大地 業績予想の修正に関するお知らせ
https://www.oisixradaichi.co.jp/wp/wp-content/uploads/2019/01/0dba05412d85669955876c585f321d1e.pdf

前期(2018年3月期)に対しての業績向上度合いと、当期の業績予想修正後に対しての結果を整理してみます。

  • 通期決算の売上高・・・64,026百万 → 前年度に対して+60.1%(ほぼ修正計画比通り、+26百万)
  • 通期決算の営業利益・・・2,312百万 → 前年度に対して+159.4%(修正計画比+5.0%、+112百万)
  • 通期決算のEBITDA(※)・・・3,154百万 → 前年度に対して+88.8%(修正計画比+5.1%、+154百万)
  • 通期決算の純利益・・・2,387百万 → 前年度に対して+906.4%(修正計画比+3.8%、+87百万)

前年に対して圧倒的にプラスになっていることがわかります。理由は後ほど決算説明資料のところで紹介します。

ところで、初めて見る指標が出てきましたね。EBITDAです。

EBITDAは本業のキャッシュベースの収益性を示す指標

EBITDAはEarnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、イービットダーもしくはイービットディーエーなどと呼ばれています。

EBITDA = 営業利益 + 減価償却費(のれん償却額含む)

EBITDAは一言で言うと、「本業の儲け(キャッシュフロー)を把握する方法」です。

ここのサイトが比較的わかりやすいと思います。

一般的には、国ごとによって異なる税制や、支払利息(借り入れ金額によっても利率は異なる)、減価償却費などを除外して、純粋な本業のもうけを見るために用いる指標です。海外投資家が世界中のマーケットをターゲットに投資をする時に比較するための指標ともいえます。

オイシックスは2018年に大地を守る会と経営統合し、らでぃっしゅぼーやを吸収合併して子会社としました。ゆえに、「のれん代」(※)を加味するため、営業利益と純利益に加えてEBITDAの指標を掲載しています。

(※)例えば、A社が5,000万の資産と2,000万のキャッシュを持つ企業のB社を1億で買収した場合、A社から見ると実質3,000万(=1億-5,000万+2,000万)は「無形資産としての価値」に費用を使ったことになります。無形の固定資産がのれん代です。しかしこののれん代の費用を損益計算書に当年で全て計上してしまうと、額によっては純利益が大幅減となってしまい、業績が急激に悪化した会社と勘違いされてしまいますし、今後数十年にわたって得ていくだろう利益の元となる投資費用を単一年度だけで処理することは市場を混乱させてしまうことになります。したがって、会計ルール上、規定の年数で割ってあげて、毎年毎年、その分を費用計上していきます。設備投資などの固定資産もこのような考え方で費用計上しています。

のれん代は日本の会計ルールでは減価償却費に含まれます。オイシックス・ラ・大地はEBITDAを算出することで本業の儲けを示しているのです。

そして、気になる2020年3月期の業績予想がこちらです。

オイシックス・ラ・大地 2019年3月期 決算短信
https://disclosure.ifis.co.jp/data/disclose/ae/20190514/140120190514425635.pdf

当期決算の営業利益から-4.9%の減益、純利益に至っては-58.1%の減益予想となります。これは確かにこれまでと打って変わっての流れで、多くの株主、株式市場の参加者はガッカリしたのではないでしょうか。私もガッカリしました(笑)。そして前述のEBITDAはわずかにプラスです。

さて次は、決算説明会の資料からも情報を得ていきましょう。

今回は決算説明資料のリリースが遅くて決算短信発表から1週間後の5月21日リリースでした。決算短信は来期の業績予想の値を拾うことはできても、なぜそのような見通しとなったかの細かい情報までは記載されていないんです。

決算説明会資料

オイシックス・ラ・大地 2019年3月期 決算説明資料より
https://disclosure.ifis.co.jp/data/disclose/f0/20190521/140120190521432043.pdf

オイシックス・ラ・大地曰く、当期業績は売上と利益ともに特殊要因が発生しているとのアナウンスがありました。つまり「見かけ上盛れてしまった」ようです。

大きくは2つ。

  • らでぃっしゅぼーや吸収合併に伴う法人税軽減効果が12億ある(純利益の半分に相当!)
  • らでぃっしゅぼーやの決算期変更により13ヶ月分を計上しているため、純粋な実力に対して0.7億ほど多い
オイシックス・ラ・大地 2019年3月期 決算説明資料より
https://disclosure.ifis.co.jp/data/disclose/f0/20190521/140120190521432043.pdf

というわけで下記が会社として実力値だとのこと。純利益が大幅に変わりました。それでも売上高も純利益も2017年度、2018年度から大幅上昇の業績であることには変わりません。

オイシックス・ラ・大地 2019年3月期 決算説明資料より
https://disclosure.ifis.co.jp/data/disclose/f0/20190521/140120190521432043.pdf

2020年度3月期の業績予想

2019年度の予想は前年に対して

  • 売上高+75億(+9.3%)・・・①GW直前に買収を発表した米国PC社(ビーガン食の宅配)効果(20億) ②事業成長(55億)
  • 純利益-13.8億(-58.1%)・・・特殊要因を除けば+4億の15億だが、のれん代(予想値)を加味すると-1億となる純利益10億が着地イメージ
オイシックス・ラ・大地 2019年3月期 決算説明資料より
https://disclosure.ifis.co.jp/data/disclose/f0/20190521/140120190521432043.pdf
オイシックス・ラ・大地 2019年3月期 決算説明資料より
https://disclosure.ifis.co.jp/data/disclose/f0/20190521/140120190521432043.pdf
オイシックス・ラ・大地 2019年3月期 決算説明資料より
https://disclosure.ifis.co.jp/data/disclose/f0/20190521/140120190521432043.pdf

参考情報

5月21日にウェルカム社を関連会社化して新たな業務提携を行うことを発表し、まだまだ盛り上がりを見せています。(これはマーケットにとってポジティブサプライズとなり、大きく下落していた株価を多少押し上げました)

ウェルカム社はリアル店舗運営のノウハウと、F1層(20~34歳の女性)を中心としたカスタマーへのブランドイメージに強みを持っている会社のようです。

今後は宅配事業に加えてさらなるリアル店舗への展開へも力を入れていくようです。

株式会社ウェルカム HPより
https://www.welcome.jp/brands/

これまでもリアル店舗の運営はやっていましたが、2020年度は今回の提携によりリアル店舗の本格的な事業経営が一層進み、また、前述のPC社(ビーガン食の宅配)を介して米国市場にも進出する大きな転換点となりそうです。

コンセンサス予想は?

決算発表前後のコンセンサス予想を記載します。

  • 決算発表前・・・営業利益2,500百万
  • 決算発表後・・・営業利益2,200百万(会社予想2,200百万)

決算発表時にコンセンサス予想を下回る業績予想を会社が発表。それに合わせて再度検証した結果、会社予想とイコールとなる業績予想をした模様。

ゆえに決算短信発表後に市場の落胆とともに株価が大きく下落したと推測されます。

マコクロはどうするのか? → ホールドです

決算短信を見た瞬間、正直、翌日朝に株価が下がりきる前にひとまず全株売ろうと思いました。機関投資家やスイングトレーダーは実際売ったと思います。だからあれだけ下げました。

ただ私は個人投資家なんですよね。

本人がそのリスクを納得していれば、何年でも持っていられます。もちろん塩漬けになる可能性もあるし、限りある資本の投資機会の損失というリスクあります。

売ろうかなーという考えが頭によぎりつつも、200円ほど下がるなら買い増そうかな(実際は300円以上下がりました)とも思いました。

結果、1600株から2回に分けて200株ずつ買い増し、合計2000株を保有する決断をしています。

どんな優れたビジネスモデル、立派な思想も業績(利益)がついてこなければ、いくら世の中に売上高として付加価値を与えていても、会社そのものが存続できません。

この会社とはオイシックス時代の2014年12月から株式保有しているので、もう4年半の付き合いになります。今回の投資判断が失敗だったとすれば、その時しっかり売却処分を行います。

その時とは、業績予想を大幅に下回る業績不振や致命的な不祥事、会社のビジネスモデルが立ち行かない時代の流れなどになるかと思います。

10年、15年と付き合える有望銘柄にできるよう、しっかり毎回の決算報告をチェックして都度判断していきます。